Let's Enjoy Softball!

青年海外協力隊OB 永井隆幸

 

 私は平成9年7月から今年の8月までジンバブエでソフトボ-ルの普及活動を行なってきました。帰国の際にはたくさんの方々のご協力を得て、私が現地で指導していましたクラブチ-ム『MUDCATS』を岐阜県で開催された高校生のト-ナメント「FUKUJUSO-CUP」に参加させることができました。

 私が名古屋空港に到着したのは夜の9時。途中機内から見える大阪平野の夜景を見ながら、ジンバブエを発つときには感じなかった寂しさや、無事帰ってこれたことへの安堵感、そして教え子達と共に日本の地を踏める幸福感など、様々な感情が入り交じり、非常に感慨深いものがありました。

 さて私の2年間の活動を振り返ってみますと、「自分は一体何を伝えたくてここまでやってきたんだろう。」という自問自答の日々だったような気がします。私は訓練所にいるときから一つの思いを胸に抱きジンバブエに向かいました。それは「ソフトボ-ルってこんなに楽しいんだよ」ってことをアフリカの子供たちにも伝えること。

そう “Let's Enjoy Softball!” しかしいざ現地での活動が始まってみるとなかなか思うようにはいきませんでした。ジンバブエの学校はその地域によって子供たちを取り巻く環境は全く異なります。高価なスニ-カ-におそろいのユニフォ-ムで練習する学校、制服に素足のままで練習する学校、きれいに手入れされた芝生のグラウンドで練習する学校、雨季には腰の高さにまで草が伸びる原っぱで練習する学校。そういう様々な学校を巡回する中で、本当は各学校の特色に合わせた弾力的な指導をしなければいけないのに、どうしてもコ-チ主導の画一的な指導に陥りがちでした。特にクラブチ-ムの指導においては、私たちコ-チの「強くしたい」という思いが強すぎ、子供たちの“思い”を尊重することを忘れていました。子供たちの“思い”、それはソフトボ-ルをおもいっきり楽しむこと。日本では「勝つこと」を最優先し、コ-チが先頭に立ってチ-ムを指揮する光景がよく見られます。私はそれを否定するつもりはありません。なぜなら選手も勝つためにソフトボ-ルをしているから。しかしジンバブエの子供たちは違いました。彼女たちの顔から少しずつ笑顔が消えていく中で私は思い出しました。“Let's Enjoy Softball!” そう私の初心です。それからは私も堅物頭の自分を変える努力をしました。いつも笑顔でソフトボ-ルができるように。そういう意味では、あの日本遠征は私の活動の集大成であり、また新たな出発点だったのかもしれません。

 

 今後はジンバブエで得た素晴らしい経験を生かし、微力ながらもたくさんの人々のお役に立てたらと思っております。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。