もう一度行きたい国、ジンバブエ

九鬼奈津美

 

初めまして。九鬼奈津美と申します。私は2013年7月31日~8月15日の約2週間ジンバブエへ行ってきました。その時私が見て感じたジンバブエについて少しお話ししたいと思います。

 今回私がジンバブエに行こうと思い立ったのは、野球好きの私にとって「アフリカで野球普及活動をしている」という事への関心と、この機会を逃せば一生アフリカなんて行けないだろうという軽い気持ちからでした。アフリカ=危険というイメージから両親には猛反対されましたが、説得の後ようやく7月末出発することができました。日本からジンバブエまでの道のりは本当に長かったのですが、私のジンバブエとの出会いはすでにここから始まっていました。

  

まず初めに出会ったジンバブエ人は、ドバイの空港でジンバブエ行きの飛行機を待っていたときに隣に座っていたどっしりとしたおばさんです。もしかして、と思って「Where are you from?」と尋ねると「Zimbabwe」と返ってきたとき、本当にアフリカに来たのだと実感しました。このおばさんからはショナ語を教えてもらいました。次に出会ったのは飛行機で隣の席になった年下の女の子です。赤毛のロングヘアーで、私のイメージしていたアフリカ人のチリチリな髪の毛とは程遠いものでした。しかし、なんだかんだ話しているうちにそれはエクステンションだということが判明しました。私のジンバブエ人の第一印象はとってもフレンドリーでおしゃべりです。そんなこんなで長い飛行時間もあっという間に経ち、ジンバブエのハラレに到着しました。

 ジンバブエではハラレ、チェグツ、グエル、ブラワヨをまわったのですが、その間とてもお世話になったのが皆さんもご存知だと思いますマンディさんです。ハラレに滞在していたほぼ1週間の間はマンディさん宅に滞在させてもらいました。

 まず私がジンバブエで衝撃をうけたのはその生活環境です。ジンバブエに行く前に、ジンバブエに行ったことのある方から色々とお話を聞いていたのですが、やはり百聞は一見に如かずです。着いた次の日から3日間断水。水は家の近くの広場にある手押しポンプで汲んでくる。毎日夕方になると当たり前のように停電。庭でキャンプファイヤーの始まりです。お風呂はトイレ兼洗面所の脇。キッチンでグツグツに沸かしたお湯と、トイレに備え付けの巨大な水タンクの水を混ぜていいお湯加減を自分で作ります。これがシャワー。話に聞いていたのはこういうことか!ともう毎日新鮮なことばかりで楽しくて仕方ありませんでした。

 次にご飯です。基本的にはサザともう一品といった感じです。サザはトウモロコシの粉をたいているだけなので味の違いはなさそうなものですが、実は家庭によって味が全く違います。ZBAのメンバーでニャーシャという21歳の女の子の家にお邪魔したときにサザをご馳走になったのですが、そのサザはサザだけで美味しくて、あまりの美味しさに帰国する日にもう一度ご馳走になりました。もう一つ忘れられないのが、フライドポテトです。ただのフライドポテトなのですが、日本のものとは違って肉厚かつホクホクでとても美味しかったです。ジンバブエの食事は炒めただけとか焼いただけといったシンプルなものが多いように思われましたが、Simple is the bestとはまさにこのことです。

 さて野球のクリニックについてです。クリニックの流れは、まず野球をZBAのスタッフが子供たちに教えます。それが終わってから野球を教えていた同じメンバーが対話形式でエイズについてレクチャーしていました。エイズというシリアスな話題ではありましたが、スタッフの話し方の上手さと子供たちが真剣に積極的にレクチャーに参加していたことから、このZBAの活動の影響、効果は大きいのではないかと感じられました。野球の練習では真剣に取り組む生徒が大半で、上手くなりたい、プロになりたいと思っている子も沢山いました。その中でも、上手くなりたいという一心で男性陣に混じって一緒に練習していた女の子の姿は忘れられません。このクリニックで出会った高校生や社会人の人々はみんなフレンドリーでとても陽気な人ばかりでした。ブラワヨのクリニックには2日間参加したのですが、そのとき私は同い年の24歳の女の子に出会いました。同い年だったからなのかなぜか気があって、「明日クッキー(私のニックネーム)のためにスパゲッティーを作ってくるから、何かクッキーの持っているものと交換ね!」という話になり、内心ただの口約束なのかな~?と思いつつも念のため何かプレゼントを探しておこうと用意しました。日本でも「また今度ご飯に行きましょう」といったような実行されない口約束があるように、きっとこれもそういった類ではないかと私は思っていました。次の日クリニックが終わる時間になっても彼女はなかなか来ませんでした。やっぱり・・と思っていると、「クッキー!!」と荷物を沢山持って彼女が遠くからやって来るではないですか。私は驚きました。本当にスパゲティを作って来てくれたのです。「来ないと思ってたよ」と言うと、「スパゲティ作ってたら遅くなっちゃったの」と彼女は言いました。有言実行。なぜか感動しました。

 それぞれの話を上げると限がないくらい私はこの2週間で沢山の人と出会い、ジンバブエの人々の明るさ、優しさ、実行力に魅了されました。そしてジンバブエを通して未知の世界アフリカのイメージが変わりました。ジンバブエはとても遠いですが、今の私にはとても近い国の一つです。軽い気持ちで訪れたジンバブエは、もう一度会いたい人が沢山いる国になりました。拙い文章ですが、最後まで読んでくださってありがとうございました。