オール・アフリカ・ゲームス結果
青年海外協力隊 野球隊員 松本祐一(ブラワヨ)
アフリカ大陸で4年に一度開かれるスポーツの祭典“オール・アフリカ・ゲームス”が9月9日から19日までの10日間、南アフリカ・ヨハネスブルグにて開催された。そのアフリカ版オリンピックともいうべきビッグ・イベントにおいて、野球も公式種目として含まれており、チュニジア、カメルーンは不参加ながら、ジンバブエをはじめ南アフリカ、ナイジェリア、ガーナ、ウガンダ、レソトの6カ国が出場し、熱戦が繰り広げられた。
<予選リーグ>
ジンバブエ対ナイジェリア 11-12 ●
ジンバブエ対南アフリカ 2-32(6回コールド) ●
ジンバブエ対レソト 31-5(6回コールド) ○
ジンバブエ対ガーナ 10-24(7回コールド) ●
ジンバブエ対ウガンダ 30-1(5回コールド) ○
●予選リーグ結果
各チームとも5試合を行い、5試合全てをコールド勝ちと圧倒的な強さを見せた南アフリカが予選トップで通過、2位はナイジェリア、そしてジンバブエ、ガーナ、レソトの3チームが2勝3敗の成績で続き、該当する3チーム同士の試合における総失点数により、総失点数28のガーナが3位、29点のジンバブエが4位、45点のレソトが5位となり5戦全敗のウガンダが最下位で予選リーグを終了した。
<決勝トーナメント>
▼準決勝
ジンバブエ 000 000 0| 0(7回コールド)
南アフリカ 037 742 X| 23
ガーナ対ナイジェリアはナイジェリアの勝
▼3位決定戦
ジンバブエ 212 7 13 1 2| 28
ガーナ 131 3 0 0 0| 8(7回コールド)
大会最終日、何とか銅メダルを獲得したいジンバブエは前回の予選ラウンドで、まさかのコールド負けを喫した相手・ガーナとの対戦となった.。前回の対戦とは違い最初からベスト・メンバーで臨んだジンバブエは序盤こそ接戦を強いられたものの4回、ガーナ投手陣の乱れに乗じて一気に7点を奪い12対5と均衡を破った。しかしその裏ガーナもすぐに3点を返し6点差と迫ったが、続く5回にジンバブエは再び6本のヒットと5四球で大量13点を奪ってダメ押し、試合を一気に決めた。
▼決勝
南アフリカ 19- 1 ナイジェリア
【最終結果】
順位 |
チーム (メダル) |
順位 |
チーム |
1 |
南アフリカ (金メダル) |
4 |
ガーナ |
2 |
ナイジェリア(銀メダル) |
5 |
レソト |
3 |
ジンバブエ (銅メダル) |
6 |
ウガンダ |
▼今大会で表彰されたジンバブエ選手
・ニール・バーン(ベストナイン・三塁手) ・サバスチヤン(盗塁王)
<総評>
銀メダルに輝いた前回大会はチームに黒人選手はたった一人だったジンバブエ。それから4年が経ち、今大会ではチームの中に白人選手がただ一人とチームがガラッと一新した。そんな状況の中、銀メダルこそ逃したものの、銅メダルを獲得したことは、これからの黒人中心のジンバブエ野球にとっては大きな第一歩を記したことになる。
ただ今大会を通じて言えることは、着実にチーム力をアップしているナイジェリア、日本人の影響で急成長を遂げているガーナ、コーチ不在ながら選手が大きな潜在性を秘めるウガンダなど、ジンバブエも今回の成績に満足して浮かれていると、次回大会ではメダル獲得も困難になることは必至である。
さらに今大会でも圧倒的な強さを誇った南アフリカに追いつくとすれば、彼等も日々アフリカ以外の大陸にある強豪チームを視野に入れて積極的にチームの強化に当たっているだけに、ジンバブエもそれなりの強化プランを持ってそれに臨まなければ差は開く一方であろう。
そこで現在、ジンバブエのチーム強化のために取り組まなければならないことは、まずバッテリー強化が挙げられるだろう。やはり南ア、ナイジェリアのそれと比べると、ジンバブエ投手陣の質は球威、変化球のキレともにかなり劣る。またキャッチャーにおいても、南ア、ナイジェリアがある程度の強肩を持ち、かなりの割合で盗塁を阻止できるのに対し、ジンバブエのキャッチャーはまだ一塁から二塁までフリー・パスの状況を作り出してしまっている。そのため守備的に常にダブル・プレーが取れない状況を作り出し、それが多くの失点の直接的原因となっている。
また打撃に関して、ある程度の速球にはついて行くことができるが、それにカーブ等の変化球が加わってくると、一気にバットの芯でボールを捕らえる確率が落ちる。これなどは日本にあるようなピッチング・マシンがあればもっと打ち込んで克服することも可能だろうが…。
総体的にジンバブエ選手はスピード、反射神経、パワー等の運動選手としての基本的能力が他のチームと比較して若干劣っている印象を受ける。これはまだ野球がジンバブエにおいてマイナー・スポーツであるため、運動能力の優れた選手がサッカー等の他のスポーツに流出してしまっていることが背景にあるのは確か。ただこれからもっと若い運動能力の優れた選手を鍛え、経験を積ませ、現存の選手との間で競争が生まれればチーム力アップは可能になるだろう。
ともあれ、今大会におけるジンバブエチームの銅メダル獲得は他の若い野球選手の励みになり、政府や国民にも数少ないメダル獲得が可能なスポーツの一つであることを認識させたことは確かで、今後のジンバブエ野球発展を考えるうえで非常に意義のあるものだった。
予選結果
チーム |
勝 |
負 |
南アフリカ |
5 |
0 |
ナイジェリア |
4 |
1 |
ガーナ |
2 |
3 |
ジンバブエ |
2 |
3 |
レソト |
2 |
3 |
ウガンダ |
0 |
5 |