カート・ホリデー氏との野球交流

山下雅之

 

 2010年8月初旬、南アフリカで教会業務に従事する傍ら、現地にて野球の伝道にも力を注いでいるカート・ホリデー氏が来阪しました。氏は、ジンバブエ野球会からの招へいに応じ、ジンバブエ野球会の皆さんと会合を持ち、さまざまなレベルで広く行われている日本野球に接しました。

 私は、氏の滞在中、大阪観光、京セラドームでのプロ野球観戦、甲子園の高校野球観戦、草野球への参加に同行させて頂きました。

 ハイライトは、高校野球の観戦でした。盛夏の一日、甲子園が与えたインパクトは、氏にこれまでにない野球の感動を植え付けたように感じました。甲子園球場のどこに席を取るかいろいろ考えて、炎天下ではありますが1塁側アルプススタンドの1番前に陣取り、一生懸命に母校を応援する生徒や関係者の熱気を感じとって頂きました。フィールドの白熱した試合と相まって、大きなインパクトとなったようでした。南アフリカはもちろんですが、氏の本国アメリカでも、このような全国大会は開催がないとの話でした。特に南アフリカの場合、わずか5分の距離でも子供を一人で歩かせるのは生命の危険もあるというくらいの治安の悪さがあり、このような全国規模の野球が平和裏に行われるのは、非常に素晴らしいことと感心していました。

 炎天下、第二試合がはじまり、お互いに暑い暑いと連発していたのですが、途中から雨が降り出しました。最初は小雨で涼しくていいなとお互い思っていたのですが、みるみる間に土砂降りに。あわてて屋内へ引っ込みましたが、時期遅く、屋内にたどり着いたときにはすでに二人ともずぶ濡れでした。野球以外では、炎天下で食べた甲子園のカレーライスが好評でした。

 氏は、日本ハム・ファイターズのファンとのことです。ファンになったきっかけは、小さいころに目にしたのが日ハムで、その頃は、チーム名が「ハムファイターズ」と聞こえていたので、イメージ的には、日本刀を持った侍がハムを切っている、なんと変な球団名なんだと思っていたそうです。後になって、正確には、あたまに「日本」が付いており、「日本ハム」が球団オーナー会社で、「ファイターズ」が球団名であると知ったそうです。

 私は、2010年のドラフト後に、2011年の最もハッピーな球団は日本ハムで、そのわけは、日本中が注目した斉藤投手が日ハムにドラフトされたからと氏にメールしましたら、たいへんうれしい旨の返信がありました。

 大阪観光は、大阪城、四天王寺、通天閣を案内して、夕刻に伊藤さんと合流して京セラドームでのプロ野球観戦を楽しみました。氏は普段は車の生活ですが、大阪観光は徒歩と電車移動で、暑さにかなり参っていたようです。しかし、熱心に見学し、いずれの観光地も印象深く映ったようでした。通天閣では、鎮座しているビリケン像を氏がいち早く見つけて、アメリカの女流作家が創造したもので、アメリカの福の神と教えてくれました。いろいろなところに接点はあるものだと感心しました。

 歓迎会の席でお尋ねしたところ、氏はグラブを持参しており、服装を含め野球ができる準備はしてきているとのことでした。私は一緒に野球をしたいと思っていましたので、スケジュールの調整をして頂き、私の草野球チームの試合に、伊藤さんと一緒に合流してもらいました。守備は、伊藤さんと一緒に鉄壁の二遊間を組んで頂きました。氏にはヒットはでませんでしたが、ファインプレーがあり、チームメートから祝福を受けていました。

 今回、ジンバブエ野球会をとおして、また個人的にもカートさんと交流をさせて頂いて、彼自身も野球が大好きであることが実感できました。今後、野球で(もちろん野球に限らず)大きな交流の輪を広げていきたい旨の話をしました。氏が帰国後も、互いにメールのやり取りを行っており、日ハムのことや、日本シリーズ、そして私の草野球の話などをしています。日本で一番盛んな草野球に参加したことは、いい思い出になったようです。

氏が吸収した日本野球の熱気は、必ずや、南アフリカでの氏の野球伝道の大きな後押しになるものと確信しています。

 

<カート氏滞在中の日程>

2010年8月3日南ア出発⇒

4日(水)  関空着(正岡・伊藤出迎え)期間中は正岡家に滞在

5日(木)  関学大野球部見学(伊藤)・夕食歓迎会「ひろた」

6日(金)  大阪城見学(山下)・オリックス対西武戦観戦[京セラD大阪](山下・江野村・伊藤)

7日(土)  京都観光(正岡)・リーブス草野球参加[小田南グランド]17時(山下・伊藤)

8日(日)  神戸コスモス練習見学(伊藤)・13:30「夏の集い」[神戸]

9日(月)  竹下千あきさん面会・甲子園高校野球観戦(山下)

10日(火)  自由

11日(水)  奈良観光・おみやげ(正岡)

12日(木)  関空より帰国の途へ(正岡・伊藤)

⇒13日南ア帰着

※( )内は随行者