ジンバブエからのお客様

正岡康子

 

 十数年前、オーストラリアから生徒を引率して来日した先生を泊めて以来、ニ十数名の外国人‘宿泊客’を迎えた‘民宿正岡’に、アフリカから初めて来てくれたのが、マンディ、スチュワート、ジョンの三人。高知での合宿を終え、大阪でジンバブエ野球会の皆さんと会食した日の夜、彼らはやって来た。失礼な事だが、まず彼らの肌の黒さに「やはり、さすが」と感動!でも村井さんから『中央アフリカ』の人たちはもっと黒いと聞き、またびっくり。歯の白さ、カールしたまつげの長さ、なんともキュートな三人だった。

 

 少し緊張した面持ちの三人を、部屋(八畳の和室とはいえ普段娘二人が使っているので家具はそのまま)に案内し、押入れの布団を出し、「こういう風に敷

 

くといいよ」と説明。翌朝、朝食の用意ができたと呼びに行ってビックリ!三人が並んで(そう、まるでオイルサーディン缶の鰯のように行儀良く)寝た様

 

子だったので。早寝早起きで、朝は五時過ぎには起きていた。

 

 マンディの指示に良く従うスチュワートとジョンは、こちらから話し掛けてもにっこり笑って頷くだけ。でもマンディがいない所では少しずつ話すようになり、三人の力関係に思わずにんまり。ジンバブエでは年少者が何でも一番に貰えるとか、例えば一個しかない食べ物はジョン(スチュワートは十日程ジョンより年上)がもらえる。その代わり食後の片付け等はジョン、慣れた手つきでよく皿洗いを手伝ってくれた。

 

 毎日朝から夕方まで野球漬け、たまたま雨降りだった三月十六日昼過ぎに彼らは帰ってきた。近くの百均ショップへ買い物に。品数の多さと値段に大感激で、結局帰国する前にもう一度行った。

 

 外国人がホームステイする、いったいどんな物を食べさせたらいいんだろうと心配される方が多いのでは?彼らが食べた夕食を少し紹介すると、十六日:カレーライス、ほうれん草の胡麻和え、かぼちゃの煮物。意外に好評!十七日:手巻き寿司、魚の塩焼き、こんにゃくとほうれん草の白合え、ふかしさつま芋(ジンバブエと同じとの感想)。十八日:豆腐ハンバーグ、ポテトサラダ。十九日:水炊き(高知で鍋料理は経験済みだった)。二十一日:カツ丼、ソーメンの味噌汁。家族と全く同じ夕食。マンディは日本料理何でもOK、スチュワートは小豆あん、ジョンは鰻が大好物だった。

 

 夕食後よくゲームで遊んだ。トランプ、UNO、中でも百人一首を使った坊主めくり!毎晩のように盛り上がり、帰国が近づいたある夜、若い女性が参加した時は特に大喜びで、「何でもっと早く彼女達を紹介してくれなかったのか」と言い出す始末。

 

 十日余りも一緒にいると別れが辛いだろうなと覚悟をしていたけれど、やはり空港での見送りは涙涙になってしまった。再会を誓い、「ママ」と呼んで貰って私の疲れは吹き飛んだ。活躍を祈りつつ、次のジンバブエツアーを心待ちにしている。