ジンバブエの社会状況

燃料不足

 

未だにガソリンスタンドは給油待ちの車が長蛇の列を作り、ガソリンのあるスタンド付近は給油待ちの車で道路が封鎖状態となる所や、順番争いの喧嘩も見られます。ガソリン代は今年に入り2月に100%、4月に300%と、既に2度の値上げをしましたが、政府為替レートに沿った価格の為、供給は需要に遥かに追いつかず、給油所は枯渇状態で、遂には殆どが闇での取引となってしまいました。ちなみに闇では市場公定価格の5倍ほどで取引されており、一部企業や外貨を持つ個人は個人輸入をしております。燃料不足は通勤、輸送に大きな打撃を与え、それがそのままインフレにも繋がっております。例えば、一般労働者は給与の大半を交通費に当てなくてはならない状態ですし、通勤、帰宅は遅れが目立ちます。一部地区では通勤帰宅に3~4時間掛かる所もあるようです。商品の値段も天井知らずに上がっていく一方です。1年前にはZ$200程で買えたハンバーガーはZ$2000になってしまいました。

 

停電、断水

 

電力公社の海外債務は30億円を超え、供給元の南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、コンゴ民主共和国への支払いは滞る一方、首都ハラレでは3月から計画停電が実施されています。個人的には頻繁に起こる停電で、電気機器が壊れたり、ガスコンロを購入したり、外食を余儀なくされたりと出費が嵩みます。

 

ハラレ市でも断水する地区が増えております。更に、浄水用の薬品不足からアフリカでも稀な水道水を直接飲むことが出来たハラレ市の水も遂には出来なくなりました。現在は安全に水を飲むには10分以上の煮沸を勧めております。

 

食糧不足

 

食料品不足も深刻です。確かに無いものもありますが、これも殆どが闇での取引になってしまっているのが実情です。ミルミル(トウモロコシの粉、主食)、砂糖など普通に手に入れるには何時間も列に並ばなければなりません。闇での購入は可能ですが、通常価格の3~4倍で取引されています。食料品に関しては昨日の値段が今日は倍といった事もあり、とにかく何でも並ばなければなりません。が、地獄の沙汰も金次第なところもあり、難しい問題です。今週はパンが無い、今週は砂糖が無い、今月は食用油が無い、今月は・・・といった感じです。

 

その他、薬も充分ではありません。ある地方の病院では医者とベッドはあるが、薬と食事は自分で用意してくれといった所もあるようです。私の息子も3

 

回に分けた予防接種がありましたが、3回目の接種の際、行き付けの病院にワクチンが無く、ハラレ市内の病院を駆けずり回ってワクチンを探しました。

 

3月から毎月、野党の呼び掛けによる職場放棄、デモが続いております。実はこの原稿を書いている今も、街は職場放棄(Stay-Awayと呼ぶ)中です。銀行、スーパーマーケットも閉まり、大変な毎日です。一昨日、昨日とデモがあり、警察や軍によって粛清され、多数の死傷者も出た模様です。

 

私が一番恐れるのは、こういった状態がマンネリ的にズルズルと続く事です。日本を含め世界中が不況で大変ですが、今私も凄い所に居ると実感する毎日です。

 

昨年から続いているジンバブエの経済崩壊は立ち直る兆しも無く未だに先の見えない状態が続いております。外貨不足による各方面への影響は広がる一方で、燃料(ガソリン、軽油)不足、食料品不足、停電、断水、インフレ等に連鎖的に繋がっています。

 

為替状況

 

一昨年から続く二重為替状態はオフィシャルレートと闇レートの差が開く一方で、インフレ率も上がる一方です。今年に入って全ての一般両替所が閉鎖され、外貨両替は銀行のみの業務としたものの、両替所が更に闇に潜っただけの結果となりました。2月末には遂にコマーシャルベースのオフィシャルレートが大幅に切り下げとなり、一時は闇レートとの差が縮まりましたが、4月になり海外債務の返済が滞っている事、大手の外貨買い漁りなどから闇レートが下がり、二重為替の差をまた広げています。

 

インフレ率も公式には230%となっていますが、実際の市場は400%以上のインフレ率です。それに対し、給与の値上げ幅は市場のインフレに追いつかず、人々は苦しい生活を余儀なくされています。