ジンバブエ旅行に思う

ヤングリーグ 姫路アイアンズ 

会長 渡 辺  博

 

 10月20日に正岡さんご夫妻からジンバブエ旅行の報告を拝聴し、頭の中を過ったものは、折れたバットに釘を打ち、憧れの長嶋茂雄さんを目指して、バットを振り始めた小学三年生頃の私でした。野球用具がなく、ピンポン玉やゴムボールを使って、原っぱでの三角ベースを素足で走っている姿が浮かんできました。人生を振り返れば憧れの長嶋茂雄さんにはなれませんでしたが、高校、大学、社会人と野球ができたのは言うまでもなく、多くの人たちの支えとご支援そしてご協力のお陰であります。

 特に野球人生のみならず人生そのものを変えてくれたのが社会人野球のカネカ野球部でした。野球以上に人間として社会人として生きていく為に必要な多くのことを教えていただき、学ぶことができました。その中で人として私が一番に影響を受けた先輩の一人が「天使のおっさん」と私が呼んでいる伊藤益朗さん(現関西学院大学野球部コーチ)でアフリカのジンバブエに野球場を創ろうなどと途方もないことに一生懸命に取り組んだ人であります。カネカ野球部は高校野球の監督を多く輩出しており、伊藤益朗さんもその一人であります。また、監督として甲子園出場を果たされた方も多くいます。監督を勤められた多くの先輩は自己犠牲を惜しまず、人の為に働くことのできる人であり、人間性を評価されたものと思います。これは単なる偶然ではなく、カネカ野球部の伝統、風土そしていい人間関係から培われたものと想像します。私もいい人たちと出会えたことで進むべき道が示され、心の在り方を教えていただけたと思っています。

 私はヤングリーグの少年硬式野球チーム姫路アイアンズの会長でありますが、就任した理由の第一は私を育ててくれた野球で何か恩返しをしたい思いと自分が成し遂げられなかった夢をひとりでも多くのこどもたちが叶えることが出来るように手助けしたい気持ちから引き受けました。子どもたちには『夢』と『目標』を持って、努力することと野球を通じて沢山のいい人と出会ってほしいと願っています。今回、正岡ご夫妻と出会い、ジンバブエに野球用具を送るという活動に参加させていただけたのも、野球を通じて繋がった人と人との信頼の絆によるものと思っております。

 今回の報告を聞いて、チームの善意が『どの様な人が』『どの様な努力で』『どの様な人たちに届けられ』『どの様に使われるか』を知ることができ、ボランティアのすばらしさと人の優しさの本質を改めて知ることができました。日本から遠く離れたアフリカの地で私たちの贈ったグローブをはめた選手たちが一生懸命にボールを追いかけていることを想像すると胸に込みあげてくるものがあります。この報告会を通じて、私たちが教えなくてはいけない「野球ができる喜び」「用具のありがたさ」「環境のすばらしさ」そして「いい人と出会える大切さ」を含め、子どもたちには感謝する心と人と人との繋がりの深さを大切にしてほしいと強く感じました。

今回、正岡ご夫妻のご報告を聴講した子どもたちがご夫妻をはじめ活動を行っている多くの方々同様に、人として、野球人として人を支えることのできる人材に成長することを願うばかりです。ご夫妻には姫路アイアンズの子どもたちの為に大切な時間を費やし、貴重なお話を聞かせていただきまして本当にありがとうございました。

 ご夫妻のご活躍とご健勝を心から祈念すると共に姫路アイアンズとのお付き合いを今後共によろしくお願いいたします。

 (姫路アイアンズの皆さんからは、グローブ80個、ボール42個を寄贈頂き、既に全てをジンバブエに持参もしくは郵送させて頂きました。)