マラウイの向かい風

溝畑智子

 

私が海外ボランティアに憧れたのは中学の時、テレビのドキュメンタリー番組を見てカッコいいなー、私も他の国に行ってあんな風に人の役に立ちたいなって思ったのがきっかけだった。あれから十数年、その夢が今現実になろうとしている。

 

私は15年春募集の青年海外協力隊の試験を初めて受けた。今まで何度も受けようと思いながらも受けることが出来なかった。4,5回受けても受からない人がいると聞いたことがあり、とりあえず自分の中で3年看護師として経験してからと思っていた。しかし、看護と言っても範囲は広く、私にとって病院という限られた中で働くことは色々な意味で厳しかった。要領が悪く、田舎育ちの私は毎日失敗の連続、知識も技術も未熟で自分に自信が持てず、日々の業務だけでいっぱいで協力隊の試験勉強どころではなかった。日本で自信を持って働けないのに、言葉も文化も違うところで何も出来るはずがないと正直諦めかけていた。そんな時、私に小さな風が吹いた。

 

2年前参加したジンバブエツアーは、私に大きな勇気と希望を与えてくれた。ツアーに参加して、本当に色々な事を感じ、考えるきっかけとなった。言葉が通じなくても人の温かさを感じた。自分の知らない世界がいっぱいある、今の仕事や生活はほんの一部にすぎない。実際に協力隊員として活動されている菅原さんの姿を見て、やっぱり夢で終わらせたくない!と強く

 

感じた。またツアーをご一緒した皆さんに励まされ、チャレンジしてみようと決めた。

 

そして今回、皆さんの励ましにかなりのプレッシャーを感じながらも試験を受けた。派遣希望国・地域としては迷わず“アフリカ”と書いた。もう一度アフリカに行きたい!と思っていたからである。二次試験の面接でもなぜアフリカを希望するのかと聞かれ、この野球会のことも話した。

 

アフリカ・マラウイに隊員候補生として決まり、夢が叶う喜びともう一度アフリカへ行けることの喜びを感じ、またジンバブエの風の本拠地、村井さんからもメールを頂き大変心強く思っている。そしてこれから先、さらに多くの人との出会いがあり、日本とは異なった地での新たな生活を楽しみにしている。

 

マラウイに行くにあたって、現地で私がどうしてもやりたいことがある。それは派遣される国・マラウイはサッカーが有名な国であり、野球は殆ど知られていないようである。そのためグローブとボールを持参し、余

 

暇にはボール遊びをして少しでも野球というスポーツを現地の人に教えられたらいいなと考えている。

 

アフリカという地で2年間生活することに不安がないと言えば嘘になるが、2年前にアフリカに行っていなければ、もっと

 

不安は強いであろうと思う。正直今はまだあまり実感なく、“本当にアフリカに行くんだよね”って合格通知を眺めながらよく自問している。その反面、本当に私がアフリカに行っていいのだろうか、何ができるのだろうと不安もあり、今は複雑な思いである。

 

ジンバブエの風は清風として私に吹いたが、任地・マラウイ、サバンナの風は今の私には紛れもなく強烈な向かい風である。しかし、自分で選んだ道、後悔しないよう邁進したい。今後とも御指導下さいますようお願い致します。