大輪の花を咲かせろ!ジンバブエ野球!!

佐伯慶士郎

 

 ジンバブエの野球選手3人が野球研修で来日!・・・こんな形で彼らと再会するとは夢にも思っていませんでした。これもジンバブエ野球会を始めとした関係者の方々のご尽力なくしては実現しなかった話です。本当に素晴らしいことだと思います。

 

 私は2000年4月からの2年間、青年海外協力隊員としてジンバブエに滞在しておりました。システムエンジニアという職種だったため、野球選手である彼らと常日頃会うことはありませんでしたが、数ヶ月に一度、日本人vsジンバブエ人という形で野球をする機会がありました。何を隠そう私も高校までは野球をしていたのですが、遠くアフリカまで来て野球ができるとは思ってもいず、嬉しいハプニングに喜びを感じずにはいられませんでした。しかし、彼らジンバブエ人たちはこんな私以上に野球を心から楽しんでおり、その姿を初めて見たときには言葉で表現できない感情が込み上げたのを覚えています。

 

 そんなジンバブエ選手たちの代表として3人がやって来て、私は彼らの通訳として、数日間ではありますが行動をともにしました。正直に言って「彼らは

 

観光気分で来てるんだろうな。」と私は勝手に思っていました。基本的にぐうたらなジンバブエ人気質に嫌というほど接してきたからです。しかし、その予想を彼らはいい意味で裏切ってくれました。少しでも日本の野球を勉強して帰りたい!その一心で来たということが、彼らと過ごしてよく分かりました。例えばこんなことがありました。ある日、彼らと春の選抜高校野球大会を観戦する機会があり、どこの高校の選手か忘れてしまったのですが、見事なホームランを打ったシーンがありました。ただ漠然と見ているだけなら「高校生がこんな大きな球場でホームランを打つなんてすごい!」みたいな感想で終わってしまいます。が、彼らは違いました。「今、ピッチャーはキャッチャーのサインに対して何度か首を振っていた。心理的に追い込まれていたからホームランを打たれたんだ。」・・・そんなところまで見てるとは・・・彼らの野球に対する貪欲さを感じずにはいられませんでした。

 

 現在、ジンバブエは危機的な経済低迷が続いており、彼らとしては野球をするよりもまずは生きていくことだけで精一杯、というのが現状だと思います。しかし今回、彼らを見て確信しました。今のつらい状況を乗り越えて、いつか必ずジンバブエ野球が大きな花を咲かせることを。