希望

村井洋介

 

すっかりジンバブエを訪問する機会が減っている。現在、私がお世話になっている三井物産にはジンバブエでの商いがある・・・そして私はアフリカ担当でもある・・・にも関わらず、行く機会が無い・・・。そして、聞こえて来るのは悪い話ばかりである。

現在、公定レート?と言うべきインターバンクレート対米ドルの為替レートが約11万Z$、闇レートは約30万Z$と既に3倍近い差が開き、それが更に進む可能性が高い。ちなみに私がジンバブエに赴任した1992年7月の対米ドル為替レートは1:3.2であったから単純にあてはめる訳にはいかないものの、Z$の価値は10万分の1に下がってしまったことになる。(100円ショップが、1千万円ショップ?)

そして、とうとうインフレ率も1,000%を超え(外資系銀行の見解は既に2000%)、消費者指数(家族6人の最低限生活費)も4,100万Z$/年、しかし労働人口の90%がこの金額に満たない給与であり、人々の生活は更に苦しくなっている。ハイパーインフレーションの中、日々経済崩壊は進み続けているのである。

が、しかし数年前の南米の国々でも同じような状況であったところが実際に存在していた。そんな状況下でもスポーツでその存在を世界にアピールした国もある。確かにマイナースポーツにとって、経済や政情の安定は大変重要であるが、それらを乗り越える力もスポーツにはあるのではないだろうか。

今回アフリカからサッカーW杯に出場したチームの中に2002年4月に和平協定が結ばれ、内戦の傷跡、貧困から立ち直ろうとしている国「アンゴラ」、内戦が終結したばかり(W杯アフリカ予選の時には内戦中であった)の国「コートジボアール」がある。コートジボアールの場合、選手全てが海外のプロリーグでプレーをしているし、アンゴラの選手の何名かもやはり海外でプレーをしている。しかし5月にアンゴラを訪問した際、私が話をしたほとんどのアンゴラ人はチームをアンゴラ復興の希望と捉えて、海外組選手に対しても国内組選手に対しても同じように敬意をはらい、同じように誇りとしていた事を思い出す。

シェパード・シバンダ、彼は今、間違いなくジンバブエの一つの希望であると思います。つまり、これまで多くの協力隊員の方々やジンバブエ野球会の皆様の力で、今はまだ小さなものかもしれませんが、ジンバブエに希望の種を蒔いて頂いたと確信しております。

 

頑張れ!シェパード。