Zimbabwe Baseball

祝・来日 ジンバブエチームに負けてみたい

青年海外協力隊 ブラワヨ野球隊員(1999.4~2001.4)根岸勇二

 

オリックスと近鉄の合併が認められ、NPB(日本プロ野球組織)にさらなる嫌気がさし、ふて腐れつつサッカーのユーロ2004を見ながら「野球のワールドカップが本当に実現すればなぁ…。」と願う今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。帰国後の私は…、

 

2001.4~2002.4

ひきこもり

2002.4

短期隊員として大洋州フィジーに赴任。ナショナルチームの監督を任される。

2002.8

練習を無断欠席したキャプテンと殴り合いというか殴られっ放しのケンカをする。あまりのショックからか「中田がジーコを殴ったら大事件だよな…。」と自らをジーコに置き換えて慰める。さすがラグビーの国、パンチが重いぜ。

2002.10.6

ニューカレドニア遠征中止。選手がその理由を知りたいというので野球協会会長に問いただした直後、生意気だとクビを示唆される。

2002.10.24

首脳ミーティングで「キミはチームを強くしていないし、暴力的だし(確かにケンカしたけど)、『起きれないから朝から練習するのはやめようよー。』などと言うのでチームを任せられない。」と、ないことまで言われる。さらに、「しかもキミはジンバブエでナショナルのコーチをしていなかったというじゃないか。ミスター・ムライから聞いたよ。」と言われる。おい、ちゃんと聞いたのかよ。

2002.12

ナショナルチーム監督を辞任。クビになったとも言える。決め手は見てもいないジンバブエでの活動を非難されたから。その後はリトルリーグを指導。

 

2003.4

帰国。

 

を経て、今は家の本屋を継いでいます。ちなみに本は読みません。フィジーでの活動はうまくいきませんでしたが、一から野球の種を蒔いていく難しさ、協会幹部とのコミュニケーションの難しさを体験し、ジンバブエの先輩隊員、首都ハラレ隊員のみなさんには今さらながら頭が下がってしまいました。

 

さて、今回は11月に来日が決まったジンバブエナショナルチームへの歓迎の気持ちということで、

 

「ジンバブエ代表のみんなおめでとう。野球やっててよかったね。」

 

もちろん日本遠征のために野球をやってきたわけじゃないだろうけど、これも日本人との出会いがきっかけで、サッカー部の横で肩身を狭くしてマイナースポーツなベースボールを我慢して続けた結果です。日本の野球からたくさんのことを学ぶことが第一ですが、純粋に外国文化も楽しんで下さい。

 

ところで、今回の来日メンバー候補を無理言って益朗さんに聞きました。ブラワヨの選手のことしか分かりませんが、みんな当時から成長が楽しみだった選手です。もちろん「え、アイツはなんで入ってないの?」という選手もいて、候補選手であるラブジョイにメールで聞くと「彼はもう野球やってないんだよ…。」という返事が返ってきて残念に思いました。ま、現在の国の経済状況を考えると野球をやっているヒマがないのかもしれないし、食料不足で野球をやる元気がないのかもしれないし、練習に行くバス代がないのかもしれません。野球よりも日々の生活が大事です、仕方ありません。

 

で、知らない方にはまったく面白くないであろう候補選手の紹介をしたいと思います。

 

まず、ラブジョイ捕手。高校生の時から代表入りし、学業の面でも学年一の成績でヘッド・ボーイ(生徒会長みたいなもの?)も務めた選手。最初に先輩隊員の松本さんから「いい選手だよ。」と紹介された時は、「ワンバウンドを体で止めることはうまいけど肩は強いのか?」とそれほど強い印象はなかったのですが、その後細い体に似合わず肩がメキメキ強くなり、「ジンバ対ニッポン(隊員などで編成)」の試合でも盗塁するのに「刺されたらどうしよう…。」と緊張するほどのキャッチャーに成長した。

 

モーガン外野手兼投手。ジンバブエのケン・グリフィーJr.と言っていたのは私だけ。まだ肩の衰えていなかった赴任当初の私とほぼ互角に遠投をし合った選手。その後の投球練習でのかなりの遅球にはさらに驚いたけど。松本さんと「どうして遠投であんなに投げるのに近距離でこうなっちゃうのかな…。」とよく話したものだ。しばらく野球を離れた時期もあったが見事カムバック。カムバック賞をあげたいのも私だけ。

 

ネルソン投手兼内野手。打撃センスは抜群。19才になりパワーのついた彼を見てみたい。マウンドに立つと緊張してしまうため「ピッチャーは無理かな。」と思っていたがそんな彼の成長を見てみたい。私が貸したスパイクを長期延滞し、ボロボロになるまで使ってくれてしまった。

 

シェパード内野手。16才からデカかった。どれくらい大きくなったのか楽しみ♡ 初めて会った時からスイングがきれいでびっくりした。16歳以下の国際大会の際、日本から寄付されたスパイクには合うサイズが1つもなく、サッカーのスパイクを買いに行ったのを思い出す。今回はスパイクに注目したい。

 

エマニュエル内野手。キャッチャーもできる器用な選手。頭もいいため二遊間両方のポジションをそつなくこなす。彼のチーム(ブルドッグス)にはよくダブルプレーを取られた…。私はタイガースというチームをコーチしていたが、ブルドッグスに負けた後、彼がタイガース選手に対して挑発してきたため「試合前なら挑発も有りだが試合後にやったらスポーツマンとしてダメだ。」と言いながらスポーツマンとしてダメな私は彼を蹴ってしまった。キャッチャーレガースの上からとはいえごめんなさい。その後変わりなく接してくれて、私が帰国する際の手紙には「ベースボールはゲームなんだから楽しまないとね。」と書いてくれた。ずいぶん大人な16才だった。

 

というわけで彼らのプレーがとても楽しみです。最近ニッポンが勝てないと聞きますが、彼らはどれくらい強くなったのでしょうか。もしかしてダブルプレーを確実に取れるようになったのでしょうか?過度な隠し球はしなくなったのでしょうか?フライを取った後派手なガッツポーズをしなくなったのでしょうか?満塁で1塁走者が単独スチールをするなんてこともなくなったのでしょうか?ぜひ来日の際には懐かしのニッポンで試合をしてみたいものです。予定が詰まっていて難しいでしょうが、もし関学の高校生にも負けるようだったらやりたいです。あれ、そういや村井さんはニッポンで投げるわけにはいかないのかな?それはマズい…。