私の日本生活 ジンバブエ/日本-比較文書(来日後の個人観察記)

ブライアン・ルウィ

 

私は2002年5月28日に来日しました。はじめての国への旅は常に何かしらの驚きと不安がつきまといます。日本への初めての旅も、しかも初めての外国旅行ということで、例外ではありませんでした。 

 

ジンバブエの大方の人達は、金銭的に余裕がないために家族で休暇を取るという贅沢は知りません。最低限の生活を維持するための活動を行なうことだけを優先します。つまり、食料と衣服で、そのためにみんなが苦労しています。供給される食物の種類はほとんど同じものです。

 

対して、ここ日本では、最近は下降気味と言われるものの強い経済力のお蔭で、人々は十分な食料を口にすることができます。どの食卓も常にバラエティーに富んだ食物がいっぱいに並んでいます。食物はきれいに飾りつけられ、時には芸術作品の傑作を壊しているかのように感じることもありました。家族で長い休暇を取り、多額のお金を使っています。ジンバブエの人々には無い自由です。もちろん、一部の人は現実にその自由を享受することが出来ますが、大方の人たちは夢でみるだけで、翌朝目が醒めると悲壮的な現実があります。

 

先日、ジンバブエでボランティアをして帰国された方々とお会いする機会がありました。彼らの話では、ジンバブエの状況は実に悲壮的です。

 

 

多くの生徒が学校を辞めて行きます。餓えと授業料を払うお金がないためです。まったく、我々はあまりに違う世界で生活している。だから、友人から夕食に呼ばれても、悲しくなってしまいます。呼ばれた先の食卓にはいつも食べ物がいっぱい並んでいます。すると私の頭の中をよぎることがあります。自分はこれから頂くが、自分の家族はどうだろう。今日は何か食べただろうか。常にこの問いかけが自分のなかであります。 

 

現実には、日本の治安は世界一であると思います。日本での滞在は、私の人生における数少ない楽しき日々の一こまです。

 

日本の人々のもてなし、支援、礼儀正しさを、心より嬉しく思っています。さらに、日本は世界に大きな影響を及ぼす国のひとつであると思います。それは、素晴らしい誠実な国民がいるからです。私の人生の10ヶ月をここ日本でとても楽しく過ごす事ができたことを感謝しています。

 

最後に、この10ヶ月は私にとって「甘美な夢」のようでした。 

 

<各段落の概略>は、言葉の違いと勤労システムの違い。国民性の違い。日本文化は『型』(あるいは『形』)の文化。人と接する際の賛辞の使い方とその意味合い。日本の非言語伝達と、彼の国での言語で物事を正確に伝える能力。同音異義語の多い日本語。ステータス(地位、身分)にこだわる日本人。日本では個人的な質問を発して、自分と相手の地位関係を推し量る。ジンバブエでは保健設備や社会保障の不備、食料不足により平均寿命40歳。日本における年功序列や先輩・後輩、目上・目下の関係。食料不足の国から見た日本の食料事情の豊さ。(常に、母国の家族を思い、何を食べたかではなく、何か食べたかを自問)日本の公共交通機関の素晴らしさ。両国の宗教観の同一性。等々でした。   (訳 山下雅之)