「裸足の外交官」 

秀島万世子(ジンバブエ大使館勤務)

 

こんにちは。はじめまして。私は、ジンバブエ大使館の秀島と申します。

 

野球を通じて、いつもジンバブエをサポートしていただき、ありがとうございます。

 

簡単に自己紹介させていただきます。

 

日本人スタッフとして1990年の10月から約13年間半、ジンバブエ共和国大使館に勤めております。

 

勤務数ヵ月後に湾岸戦争がありました。また、1994年の南アフリカの民主化移行を、隣国、ジンバブエの視点から観る機会にも恵まれました。別にジンバブエという国にこだわりがあったわけでもなく、また、外交や国際関係の造詣が深いわけでもなく、仕事を探していて募集があったから適当に応募したら受かっちゃった、てな始まりでありました。がっかりさせてしまいましたか?

 

ところが現在は、肩書きこそありませんが、大使の専属通訳・翻訳、学生の大使館訪問担当、商務・文化の引合い窓口、はたまた大使館のシステム・エンジニアまでやっております。先日は日本貿易振興会主催の海外投資フェアにてジンバブエの投資機会についてプレゼンテーションもやりました。

 

  どうです、すごいでしょう?誤解しないで下さいね。すごいのは、私ではなく、ジンバブエの真の実力評価と男女機会均等ですよ。これほどフェアな国はまずないでしょう。

もちろん私も勉強しましたよ。でも、それ以上に鍛えられまし 

 

たね。つまり、「秀島、これをやれ」と、ドーンと分厚い経済レポートをいとも簡単に翻訳業務にしてくれるのです。

 

一応4年制大学は出ておりますが、専攻は英米文学です。経済?それも日英、英日。容赦ありませんでしたね。No kiddingものですよ。

 

さて、主題の「裸足の外交官」ですが、対象は、とある上司の外交官です。この人はものすごく頭がよかったです。実に明瞭簡潔なレポートを短時間で書き上げる人でした。集中力のすごさは神がかり的なところがありました。この人がなにかに集中しているときは一目で解ります。なぜならば、靴を脱いで裸足で(靴下ははいていますよ)職場を歩き回るのです。これって、私にはとてもよく解るのです。私も、忙しいときは靴をはかずに仕事をします。私の場合は靴下も脱いでしまいますけどね。

 

  畳の上を素足で歩く感覚でしょうか。不思議と開放感にあふれ、実力以上の仕事が出来るのです。

裸足で思いだしましたが、ジンバブエを含め、私が知っている外国人の女性はストッキングをはかずにハイヒールやパンプスをはきます。カッコイイので真似をしたことがありましたが、靴づれをおこし、えらい目に遭いました。

 

再び「裸足の外交官」に話は戻りますが、この人は私にとって、国際関係の師のような存在でありました。とても色々なことを知っていました。それを、惜しげもなく、無知無教養のこの私に教えてくれるのです。具体的に書くと問題がある内容なので叙述は控えますが、この人の話を聞いているだけで、国際関係の骨子が見えてくるのです。レクチャーし出すと1時間なんてざらでしたね。

 

まあ、そんなこんなで今の私があるわけですが、結論としてみなさんにお伝えしたいのは、裸足で快適に良い仕事をしよう、であります。

 

最後に、是非みなさんにまた駐日ジンバブエ大使館の素顔をお話できる機会がいただけたら幸甚です。