離任2ヵ月後のジンバブエの状況

村井洋介

 

伊藤様05.5.30

来週の6月5日から7日まで、ハラレへ出張となりました。この機会に球場その他を見てこようと思っています。現在のジンバブエの状況は、聞くところによりますと、深刻な物不足が再び襲ってきているとの事です。燃料、主食、砂糖、油等の不足は3年前のような状況になりつつあり、為替レートも1米ドルが23000ジンバブエドルまで落ち込んでいると聞きます。先に支払った球場管理人の給与も見直す必要があるかもしれません。

さて、悪いニュースに紛れて、ちょっといい話もありました。マンディからのメールでは、ジンバブエ野球協会は、ジンバブエに於ける過去25年間の最も優れたチームスポーツというアワードで、記念銀メダルを受賞したそうです。(ZBSA was awarded a silver Jubilee medal for being one of the outstanding teams sports in Zim in the past 25 years.)

更に、ソフトボール世界大会アフリカ予選の開催国にも決ったとの事です。どのような形で、それらを応援、支援できるかも話してきたいと考えていますが、マンディも現在はハラレにいないことから、お互いの時間の都合が合うかどうか心配です。  村井

 

伊藤様 05.6.8

私がジンバブエを離れる時の対米ドル為替レートは14000、今回約7週間後に再訪問したらば、24000となっていました。

先のメールに加え、実際に行って観てきた、聞いてきた事を、感想と共に追加させていただきます。

元ジンバブエ在住者にはお馴染みのジンバブエ最大のフリーマーケット(泥棒市?) 兼、市民の台所である「ンバレ」マーケット (野球会ツアーでも行きましたっけ?)は、今回のクリーンアップキャンペーンで見事に跡形もなく無くなっておりました。当然ながら、市内のお土産露天(ニューランド、ボローデール)、ミークルズホテル前の花屋等も全て一掃されて、市内はまさに閑散とした感さえ漂っていました。  村井

 

伊藤様05.6.8

<もう少し詳しい報告書として>

今回の6月5日から7日までのジンバブエ訪問直前に、政府の指示による、クリーンナップキャンペーン と銘打った違法居住者の検挙、違法店舗並びに貧民街(ハイデンシティー地区と呼ばれる黒人居住区)に於ける違法住居の掃討作戦が行われた。第一の名目は「国際社会からの投資や援助を受ける為には外観の整備が重要な為」、「不当な居住者によって都市部の人口が増えすぎており、既に都市機能のキャパシティーを超えている為」ということであったが、実際には、闇取引市場(特に違法外貨両替)の壊滅と、都市部における野党拠点の住民への政治的報復が背景にあると言われている。掃討作戦では国内ほぼ100%の違法店舗の排除が完了し、現在は違法住居の取り壊しが続いている。掃討作戦での逮捕者数は、新聞の発表では22,735人。

違法店舗とは、市内では観光客向け土産物、バスターミナルでは生活用品や食料品、黒人居住区では食料品や生活必需品を扱っていた露天商の事で、土産物店を除くそれぞれは一般市民の生活の生命線的なものであった。特に黒人居住区では自宅で栽培した野菜等を路上で売る事によって、生活費の不足部分を賄っていた人々も多く、当然ながら通常の正規小売店で購入するよりも安価であったそれらの商いが失われた事で、人々の生活はさらに苦しくなっていくことが予想される。

また、黒人居住区では自宅の敷地内に小屋を建て、そこを賃貸しして副収入としていた人が多くいた。特に、失業率が70%、現金収入が可能な場所は都市部のみ、といわれる現状で、職、収入を求めて都市部に集まってきた地方出身者にとって、家賃の高い市内の住宅には住めないのが現実であり、そういった人達の住居となっていたものが、全て破壊された。これにより、相当数の人間が住居を無くした状況である。

当局は、それらの人々に、出生地(田舎)に帰省するように指示をしているが、長期に渡り生まれ故郷を離れている者によっては、既に出生地区での居住権を失くしている者(その地区で住民税を支払っていない者、地域の首長から帰省の許可を得られない者)も多く、サッカー競技場や路上での生活を余儀なくされている者(国内難民)も出ている。

また更に、今回のキャンペーンの一環として、一般市民の通常の足であった「乗り合いタクシー(ワンボックスカーに15~16人乗り込み、市街地と居住区をシャトル運行する)」も厳しい取締りを受け、ライセンスや整備不良を理由にほとんどの乗り合いタクシーは営業ができなくなっている。公共交通機関(バス)の絶対数の不足、慢性的な燃料不足から一般市民のトランスポートの確保は厳しい状況で、多くの人々が徒歩での通勤通学を強いられている。

このような状況下にも拘らず、政府は公共交通機関のバス、旅客機、戦闘機を中国から購入した。バスは理解できるが、旅客機、そして戦闘機の購入は不可解である。慢性的な燃料不足のこの国で、威嚇の為なのか、戦闘機が市街地上空を飛んでいる。これもまた慢性的な外貨不足のジンバブエには当然ながらこれらの購入代金を支払えるはずも無く、その為に支払いはジンバブエの土地や鉱物資源等でのバーター取引になっている模様。

このような状態が続けば、更なる治安の悪化と共に、更なる経済の悪化が予想される。 市内のロウデンシティーエリアに住む比較的裕福な層の人々や外国人は、貧困層の民衆の逆襲が起こる可能性を懸念し、更なる犯罪の増加が予想されます。 

中央銀行発表のインフレ率低下も、統制価格下での数字であり、実情とは異なる。つまり、国の状態はますます悪くなっている、なっていくと言える。  村井

 

伊藤様05.6.1

一方、移住先の南アフリカでは以下のような事が私に起き、大使館に報告しました。

5月29日(日)午後1時40分頃、ブルーマレイクにてMetro Policeの行う検問に遭遇、停止命令に従い停止のところ、車外に出てトランクを開けるよう指示を受ける。

トランクには何もなく、運転免許証の提示を受け、大使館にて翻訳証明され、同国警察の証明印のある免許証コピー並びに同様のパスポートコピーを提示したところ、同書類は認められず、口頭にて2500ランドの罰金を命じられた。その為、国際免許証並びに免許証、オリジナルのパスポートを提示したところ、同じ答えを繰り返すもさすがに困った様子になりました。そこで同乗していた家内への追及へ変更、パスポートを所持していなかった為、不法入国の疑いで逮捕拘留の為、妻は一旦車外へ出され、口頭で20000ランドの罰金を要求された。

当然ながら、不当である事、そんな額のお金を持っていない事を主張したところ、これから家内を警察署へ連行し拘留するので、私は家に戻り、釈放の為のパスポート、ビザ、現金を用意して警察署に来いという話になる。そこで、大使館に連絡すると言うと、家内も私も車内に戻され、運転席側の窓を開けるように指示され、それに従うと、警官は窓に上半身をかぶせ携帯している拳銃を見せながら財布を出すように要求、あくまで、家内の不法滞在を助けてやる為との理由で、現金を要求、財布内にあった現金100ランド、並びに40米ドルを小さくたたんで袖の中に入れるよう指示され、その通りに実行いたしました。

確かに、妻のパスポート不携帯は、当方のミスではありますが、明らかに、警察権力を使ったタカリ行為と思います。車内には幼い子供が居る状況で、拳銃をちらつかされた事、全うな議論にはならない相手である事、公務執行妨害等の不当な理由を付けられ発砲されても、逮捕されても困る事から、このような理不尽な警官の言いなりになりました。

警官の指示で車外に出た際、携帯電話は車内に有り、携帯電話での連絡が車内に戻るまでできない状況であった事、警官が着用の警察官ナンバーも隠れて(隠されて?)いた為に確認できなかった事、同様に停車場所から警察車のナンバーも確認できなかった事が悔やまれました。

現場は、片側一車線の道路、街路樹裏手(歩道上)に警察車を停め両車線で検問を実地、警察車両は2台、警察官は6人でこのような行為を行っていました。  村井